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漢字も書ける。水泳もできる。なのに、なぜ——。今春、地元の公立中学への進学を望んだ奈良県下市町の車いすの女児(12)が町教育委員会に入学を拒まれ、学校に通えない日々が続いている。1日にこの中学で上り下りする階段は800段として、町教委は特別支援学校を勧める。女児を地元小学校に通わせた母親(45)は「同じように学びたいという思いが彼女を成長させた」と訴える。
■「みんなと同じように」
8日にあった中学校の入学式に、女児は出席できなかった。「とても寂しいけれど、いろんな人が応援してくれるのでうれしい」
脳性まひで生まれた時から手足が不自由。階段の上り下りやトイレでは介助が必要だが、食事や身の回りのことはたいていできる。車いすで1人で移動でき、地元の小学校に通って、他の児童と一緒に授業を受けてきた。
1年生のときは震える字で「1」と書くのがやっとだった。練習を繰り返し、いまは得意な漢字も早く書けるようになり、「カリカリという鉛筆の音を聞くのがうれしい」。夏休みや冬休み、次の学期に習う漢字をすべて覚える。毎日約2時間のリハビリを欠かさないがんばり屋さんだ。
お気に入りの小説は「赤毛のアン」。丸ごと暗記し、どのページからでも最初の1行を聞けば、スラスラと暗唱できる。体育でも、6年生になると仰向けで25メートル泳げるようになった。
女児は自宅から車で約30分の奈良県立明日香養護学校(同県明日香村)に籍を置くことになった。だが、登校しておらず、同校の講師が13日から女児宅で教える予定だ。
母親は「みんなと同じようになりたいという思いが娘を成長させた」。女児は「小学校時代の友だちと一緒に勉強したい」。そう語り、中学進学をあきらめきれずにいる。県教委に調整役になってもらい、解決の道筋を探っている。
■1日に上り下り800段
「800段。この中学校で生徒が1日に上り下りする階段の想定段数です」。下市町教委の堀光博教育長は入学を拒んだ理由をこう説明する。
女児が入学を望む町内唯一の中学校は71年建設の4階建て。高台の傾斜地に立つ。正門から校舎玄関への階段が27段あるほか、校舎から体育館への階段も35段ある。「理科室」「パソコン室」などの特別教室も多く、移動は小学校より多いという。階段にスロープはほとんどなく、校舎にエレベーターもない。
女児は小学校時代、町側が雇用した女性介助員2人と担任教諭に階段の上り下りを手伝ってもらっていた。しかし、堀教育長は「思春期になれば体が大きくなる。介助中に足を滑らせて階段から落ちれば、命の危険につながる」と話す。町教委は事故時の過失責任が問われることを懸念する。さらに年間約40億円の町予算では、介助員の増員、バリアフリー化の改修工事は難しいという。
町教委が「一番危険」と説明するのは、校舎から体育館までの階段。実は迂回路(うかいろ)があり、約3分遅れで着くが、町教委は「次の授業に間に合わず、保護者が望む同じ教育が実現できない」と説明する。(高橋友佳理、藤田さつき)
■受け入れ態勢あれば進学可能
文部科学省によると、障害のある義務教育段階の児童・生徒は全国で約23万人。その進路は、どのように判断されているのか。
地元の公立小中学校か、特別支援学校(旧盲・ろう・養護学校)のどちらに進むのが適切かは、各市町村教委に置かれた就学指導委員会が、保護者の意見も聞きながら審議する。原則、国が定める障害の程度にあてはまれば特別支援学校に通う。
しかし、小中学校側の受け入れ態勢が整っていると判断できる場合には、小中学校への進学を認めている。文科省によると08年度、全国で特別支援学校を勧められた7165人のうち、約5%にあたる374人が小学校への入学がかなった。
判断を巡って訴訟にまで発展する例がある一方で、埼玉県東松山市のように就学指導委員会を廃止する自治体もある。「子どもにとって最善の選択をできるのは保護者」と考える市長が提案した。
国は、公立学校のバリアフリー化の進み具合について調査していない。文科省はその改修費を3分の1補助する制度を設けているが、過去3年間の申請は161件にとどまっている。施設助成課の担当者は「限られた財政の中、各自治体は耐震化工事を優先させているとみられる」と話す。(小河雅臣)
〈大阪市立大・堀智晴教授(障害児教育)の話〉 障害のある子も、地域の学校で仲間たちと触れ合い、もまれながら学ぶことが大切だ。中学校側は、教職員や他の生徒たちの負担が増えることに不安を抱いているのだろう。障害のある子が利用する教室や施設を1階に集めたり、地域ボランティアに小さな段差をなくす大工仕事や介助を手伝ってもらったりして、受け入れる学校が各地で増えている。工夫次第だ。
〈障害児教育を考える」などの著書がある桜美林大・茂木俊彦教授(障害児心理学)の話〉 障害の程度などによっては、特別支援学校で専門的な教育をする方が、その子の自立につながることもあり得る。しかし、奈良のケースは、勉強も水泳もがんばっており、行政が受け入れ態勢づくりに努めるのが筋だ。財政的に町だけでバリアフリー化が難しいなら、県に支援してもらうなどの方策を考えるべきだろう。
asahi.com2009/4/17
このニュースは4月頭に報道されていまして、皆さんも目にされたと思います。先週の「報道特集NEXT」という番組でも特集が組まれていました。私もすぐに記事にしようと思ったのですが、自分の考えをまとめてからと思い、遅くなってしまいました。
町の教育委員会ではなにより少女の安全面を訴えていました。設備が整っていない中学校では満足な教育が出来ないばかりでなく、命の危険もあるかもしれません。小学校の時は身体は小さく軽くて車いすを持ち上げての階段の昇降は介助者の体力の負担にはならなかったかもしれませんが、中学生になれば身体は大きくなりますし、思春期になれば男性に介助してもらうことの抵抗感が出てくるのは当然だと思います。中学では科目ごとに校内を移動しなければならず、階段の昇降も小学校の時以上でしょう。さらに中学にはスロープを付けたり、障害者用トイレに改築するだけの予算がないそうです。文科省は障害があっても出来るだけ地域の学校で学べるように推進していますが、まだまだ始まって2年で、そのノウハウの蓄積がなく、二の足を踏む自治体も多いそうです。
そう言うことなら仕方ないですよね。普通校であれ養護学校であれ、勉強することには変わりないですし、諸々のことを考えれば養護学校で学ぶのがベターだと思います・・・・で、終わる訳には絶対にいかないんです。
結局この町の教育委員会は少女を「歩行が出来ない障害児」としか見てないのではないでしょうか。前述した番組を見ましたが、少女のリハビリは壮絶きわまりなく、私もいろいろなリハビリを目にしていますし自分も受けたことがありますが、あそこまで辛そうなものは見たことがありません。それを少女は泣きわめきながらも3歳の時から9年間毎日続けているそうです。勉強もます目から字がはみ出してしまい、それを担任は他の子と変わりなく×を付けていたそうですが、高学年になった頃にははみ出さなくなり、漢字テストでも100点をとっていたそうです。クラスメイトとも明るく接していて、良い雰囲気で小学校の6年間を送っていたそうです。そんな努力をしている少女が訴えているんだというのを見ていないような気がしてなりません。
先日ここに「姪が地元の中学に進むか、公立の中高一貫校に進むか悩んでいる」と書きました。姪には中学を選ぶ選択肢があって、少女には選択肢がないって普通に考えておかしくないですか?
感情だけで物事が進められるほど世の中は甘くないのは分かっています。でも、福祉の資格を取得出来た今だからこそ、当事者の思いを無視した選択をしてはいけないと強く思うんですよね。
命が大事、安全第一なのは当たり前です。そこを踏まえた上で少女を普通校に通わせる道は本当にないのでしょうか。階段の昇降が大変なら、動線を一階に集中させれば良いのではないでしょうか。理科は絶対理科室で、音楽は絶対音楽室で、という決まりはないはずですし、その中学にはパソコン室もあるみたいですが、ノートPCで無線LANで・・・みたいな部分はそんなにお金はかからないと思います。中学で出せないならご家族が協力してくれるはずです。
保護者会では署名をしてでも少女が登校出来るように動いても良いという声もあるそうです。反対の声が保護者から出る場合も多いんですが、このケースでは非常に好意的みたいですね。やはり小学校6年間の実績、少女が教室にいる当たり前の風景があったからだと思います。
「1リットルの涙」の木藤亜也さんの病気が進行し、中学校から養護学校への転校を余儀なくされたと言うくだりがありました。1リットルの涙は、確か昭和50年代始めの話だったと思いますから、もう30年も前になりますよね。時代は平成になり21世紀になり、徐々にバリアフリーは進んでいるかもしれないけれど、未だにこういう話が出てきてしまうのは寂しいというか情けない気持ちになります。
現在、裁判で争っているなんて話も聞こえてきますが、裁判で結論が出るのはまだ先ですよね。少女は今すぐ中学に通いたい訳ですから、なんとか双方で歩み寄りを見せて、良い結論が出る事を願っています。
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